#45 心理的安全性を生み出す「聞き方」教えます!

「分からない」を言える勇気が信頼を育てる 〜聞き手の立場で気をつけたい伝わる質問のしかた

3月半ば、新しい環境への準備や引き継ぎの場面が増えてくる季節。
前回は「伝える側」の心構えについてお伝えしましたが、
今回は逆に「聞く側」、特に新しく加わる立場の人が意識したい「伝わる聞き方」について掘り下げてみましょう。

「分からない」と言うのが難しいのはなぜ?

誰しも一度は、先輩や上司から説明を受けている時に
「何を言ってるのか分からない…」と感じたことがあるのではないでしょうか。
実際、メモは取っているけど、後で読み返しても意味がつかめずに困った、という経験は多くの人が持っています。

しかしその場で「分かりません」と言うのは、案外難しいものです。
理由はシンプルで、「こんなことも分からないの?」と思われたくない、
「使えない」と思われたくないという不安があるからです。
これは、私たちが子どもの頃から「分かっていることが正解」
「分からない=劣っている」と刷り込まれてきたことも大きな要因。

分からないことを言える職場が、生産性の高い職場になる

本当に大事なのは「分からないことを、分からないままにしない」こと。
なぜなら、自分が理解していない状態で作業に取り掛かっても、結果としてズレた成果物が出来上がってしまい、
後で「なんで言わなかったの?」とギクシャクする原因になってしまいます。

だからこそ、「分からない」と言える環境を、伝える側と聞く側が一緒に作っていくことが重要なのです。

「分かりません」だけじゃなく、「どこが」「なぜ」を添える

「分かりません」とだけ言われると、伝える側も「どこが?」「どの部分を?」と戸惑ってしまうこともあります。
大切なのは、自分がどこで引っかかったのかを具体的に伝えること。

例えば、

  • 「この流れの中で、ここだけがピンと来ていません」
  • 「この手順の理由をもう少し教えていただけますか?」
  • 「自分なりにこう理解したんですが、合ってますか?」

こういった問いかけが出来ると、
「この人はちゃんと実務のことを考えて話を聞いてくれてるな」と伝える側にも信頼感が生まれます。

良い質問が、信頼を築くコミュニケーションのはじまりに

実は、こうしたやり取りの中で信頼関係が少しずつ築かれていくのです。

「ごめん、私の説明がわかりづらかったかな」
「いえ、こちらも理解が追いつかなくて…もう一度お願いします」

こんなやり取りが交わせるチームこそ、心理的安全性の高い、居心地の良い職場だと言えるでしょう。
最初のコミュニケーションがうまくいけば、「ここに来て良かった」「このチームで頑張ろう」と思えるようになります。

質問は信頼構築の“ツール”。自分から関係性をつくるチャンス

「分かりません」と言うことは、決して恥ずかしいことではありません。
むしろそれは、関係性を深めるきっかけになります。
聞く側が質問することで、伝える側の説明力も磨かれ、チーム全体の理解度もアップするのです。

もちろん、言い方には配慮を。
柔らかく、丁寧に、具体的に尋ねることで、相手に伝わりやすくなります。

お互いが「理解しよう」とする姿勢が最強のスキル

新しい人が加わる春は、引き継ぎや説明の場面が増えるシーズン。
「分からないことは聞いていい」という文化を育むには、お互いの思いやりと工夫が欠かせません。

「この人、ちゃんと聞いてくれるな」
「伝え方を工夫してくれてるな」
そんなやり取りの積み重ねが、心理的安全性を育み、生産性の高いチームを作っていきます。

新しい環境でも、「分からない」を武器にして、自信を持ってスタートしてみてくださいね。

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