

心理的安全性を構成する4つの因子
「話しやすさ」「助け合い」「挑戦できる環境」
これまでの記事で3つをご紹介してきました。
そして今回取り上げるのは、4つ目の因子である「新奇歓迎」です。
新奇歓迎とは何か?
「新奇歓迎」という言葉は、少し耳慣れないかもしれませんが、
これは“新しくて少し奇妙なこと”を歓迎する姿勢を意味しています。
つまり、自分とは違う価値観や考え方に対して、排除するのではなく、受け入れる力を持てるかどうかを示すものです。
ただし、いきなり「大歓迎!」というのは難しい場合もあります。
まずは、「そういう考え方もあるよね」と受け入れることからスタートして、「共存できる土壌」を育てていく。
これが「新奇歓迎」の実践に向けた第一歩なのです。
異なる価値観は、なぜざわつく?
人は誰しも、自分の経験や常識、価値観を基準に日々行動しています。
そこに、自分とまったく異なる価値観を持った人が現れると、どうしても心がざわつき、
「なんだこの人?」と感じてしまうことがあります。
でも実は、その逆もまた然り。相手も同じように、あなたの価値観を「変だな」と感じているかもしれないのです。
対立ではなく、共存を目指す
異なる価値観がぶつかり合うと、しばしば対立を生み出し、最悪の場合は攻撃的な関係になってしまいます。
これではチームの生産性が落ちてしまうどころか、組織としての土台が崩れてしまう恐れすらあります。
だからこそ重要なのは、「自分とは違うけれど、いても良い存在だ」と認識すること。
関わらなくても良い、でも排除もしない。まずは“受容”する。
このスタンスが、チーム全体の土壌を柔らかくし、多様性のある組織へと変えていくのです。
上司の価値観がチーム全体を縛っていないか?
新奇歓迎の障壁になりがちなのが、「上司の常識=チームのルール」になってしまうケースです。
経験豊富な上司ほど、自身の成功体験や失敗経験から、
「それは上手くいかないよ」と挑戦を止めてしまう場面も見受けられます。
しかし、そこに一工夫。「自分はこうやって失敗したけど、
こう変えたらもしかしたらうまくいくかもしれない」と伝えれば、
部下にとっては貴重な学びになりますし、挑戦する道も開かれます。
また、上司が失敗談をシェアすることによって、「話しやすさ」も高まり、部下からの信頼も厚くなるのです。
チームの資産としての失敗
成功体験だけでなく、失敗もチームの資産です。
恥ずかしがらず、むしろ積極的に共有することで、次の挑戦に生かせる材料になります。
「実は俺もそれやってみたんだよね、でもここでつまずいたんだ」という話があるだけで、
同じ轍を踏まない工夫もできますし、部下との対話も自然と深まります。
好きになれなくても、必要な存在
新奇歓迎には、「感情」と「理性」のバランスも必要です
正直、人としてはあまり好きになれない相手だったとしても、
その人の視点や知識がチームにとって有益であれば、それを受け入れる“理性”が求められます。
「自分とは合わないけど、存在としては必要だ」と認めること。
これもまた、心理的安全性の高い職場をつくるうえで欠かせない視点です。
4つの因子がそろうとき、チームは強くなる
ここまでお伝えしてきた4つの因子
1. 話しやすさ
2. 助け合い
3. 挑戦できる環境
4. 新奇歓迎(異なる価値観の受容)
これらがすべて揃った職場は、間違いなく居心地がよく、成果も出しやすいチームになります。
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